吃音治療で信頼のおける病院

吃音にはさまざまな治療法があり、自分に合う方法を見つけるのは簡単なことではありません。

選択肢として病院での治療を考えた時に、どの病院に行くのが良いのか?何科を受診すれば良いのか?悩むところです。吃音はどの病院でも治療を行っているわけではありません。

全国的にも吃音治療をしてくれる病院は少なく、受診する診療科も病院によって異なります。一般的には、言語聴覚士による指導が受けられる病院となります。診察窓口は、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科、神経内科や精神科・心療内科などになります。

病院によって治療方針や訓練内容も異なりますので、自身の症状に合った病院を選ぶことが大切です。また、心理的要因で引き起こされた吃音については精神科や心療内科などの受診が必要になるため総合的に治療ができる病院がおすすめです。

①国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県)

障害がある方を対象に一貫したリハビリテーションを行い、その人の社会生活を支援することを目的とした総合病院です。

病院の中心となる3つの訓練部門の中には言語・聴覚障害等への言語訓練も含まれているので吃音の治療にも信頼があります。

また、医師や言語聴覚士・臨床心理士などがチームを組んで総合的に診断・治療方針を決定していくので、身体面だけでなく、精神面も含めた治療が可能です。吃音指導は、幼児から成人までを対象にしています。治療方針が決定後、週1回~1ヶ月に1回のペースで訓練を行います。

・子どもの場合 
治療方針を決めるのに最低3回の来院が必要となります。

・成人の場合(18歳以上)
成人吃音相談外来があります。耳鼻科医の診察と言語聴覚士の言語評価を半日で行い治療方針を決定します。症状によっては精神科医も診察に加わります。

②北里大学東病院(神奈川県)

高度先進医療を行う北里大学病院の東側に位置する病院です。比較的、症状が落ち着いてきている患者さんや症状が慢性化した患者さんに対して、症状の回復と社会生活の支援を目的とした病院です。

医師、看護師、言語聴覚士などの専門スタッフがチームを組んで診療するリハビリテーション部があり、吃音の言語療法を行っています。また、精神神経科もあるため、身体面・精神面の両方から治療を行うことができます。

さらに、言語聴覚士の育成も行う北里医療衛生学部とも連携しているので、スタッフ体制が充実しています。

病院で使用している訓練教材を無料(送料負担)でもらうことができるので、受診を検討している人は取り寄せてみてはいかがでしょうか。

③杉吃音治療院(東京都)

墨田区にある吃音専門の治療院です。東洋医学の治療理念と長年の鍼灸師としての経験を基に吃音を音声面から捉えた独自の理論と方法で症状を改善していきます。25年の間に400人以上の吃音を治した実績がある治療院です。

間違った発声方法により声(音)に歪みが生じ、「言いにくさ」を作り出していることで吃音が起こると考えています。そのため、腹圧のコントロールを行い、正しい発語・発声を行うことで「言いにくさを」なくし、吃音を改善していきます。そして、きれいな発音で流暢に話すことを目的としています。

最初にカウンセリングを受け、吃音の状況を把握し治療方針を決定していきます。その後の訓練は基本的に週1回の通院で行っていきます(相談可能)。通院が難しい方はスカイプ(テレビ電話)でのレッスンも可能です。無料のメール相談や診断も行っています。

④その他

〇九州大学病院耳鼻咽喉科(福岡県)

旧帝国大学のひとつでもある九州大学の附属病院です。研究機関も充実していて、大学病院と研究機関との連携により、吃音についての最先端のレベルの研究を行っています。

耳鼻咽喉科医師には、自ら吃音で苦悩した経験を持つ、菊池良和先生がいます。吃音の症状を改善するだけでなく、吃音者でしかわからない苦悩を理解してくれる病院です。

〇近畿大学医学部附属病院(大阪府)

耳鼻咽喉科では、外来言語訓練を行っています。言語療法を行う言語聴覚士には、30年近く吃音の治療に携わっている有名な先生がいます。吃音者が抱える苦悩を理解して、吃音者・児の側に立って治療を行ってくれます。

〇大阪市総合医療センター(大阪府)

小児言語科があり小児の吃音治療を得意とする病院です。成人の吃音治療は、リハビリテーション科で言語聴覚士による言語聴覚療法が受けられます。

〇鹿児島徳洲会病院(鹿児島県)

音声言語専門外来があります。経験豊富な言語聴覚士がいますので子どもから成人まで治療可能です。

〇杉石病院(愛知県)

吃音を抱える言語聴覚士が丁寧な訓練を行ってくれます。子どもから大人まで治療可能です。

〇東北文化学園大学(宮城県)

子どもと大人の言語訓練を行っています。経験豊富な言語聴覚士がいます。

吃音者になりやすい人の特徴

同じ環境で同じ状況の出来事が起こった場合、その出来事に対する感じ方は十人十色です。

例えば、会社で上司に叱られたとします。Aさんは、何も気にせず普段通りに生活をしています。Bさんは、次は叱られないようにもっと仕事を頑張ろうと思います。

そしてCさんは、叱られたことでひどく落ち込み仕事が手につきません。このように同じ状況であっても本人の受け取り方でこんなにも違ってきます。吃音も同じです。先天的に吃音になる素質があったとしても、症状の現れ方や吃音の重さなどが違います。

また、兄弟姉妹のように同じ家庭環境で育っても吃音になる人とならない人がいるように十人十色です。特に吃音になる性格はありませが、吃音が発症しやすい考え方や吃音を悪化させてしまう環境を作りやすい性格はあります。そのため吃音の人でもその人によって苦悩している人もいれば、社会的に活躍している人もいます。

①心当たりありませんか?

一般的に、几帳面、真面目、心配性、他人に気を遣う人が吃音になりやすいと言われています。心当たりのある人は下記の要素もチェックしてみてください。

  • 周囲の環境の些細な変化にも気づくことが多い
  • 静かな環境が好きで、騒音を聞くとイライラして落ち着かない
  • 芸術や自然に心を動かされる
  • 他人の気持ちを敏感に察することができて優しい
  • 想像力が豊かで、思慮深い
  • 子どもの頃から「引っ込み思案」「敏感」などと言われていた
  • 人から注意を受けると意識しすぎてうまく動けない
  • 刺激の多い日々や環境が続くと静かな環境に身を置きたいと強く思う

これらの要素は、HSP(Highly Sensitive Person)と言われ、感受性が強すぎてしまい生きづらさを感じている人たちです。日本人では5.6人に1人はいます。HSPの人も吃音になりやすい性格です。

②吃音になる人は優秀な人

世界の偉大な人物に吃音者が多く存在することが知られています。前述したように、吃音になりやすい特徴として感受性が強いことが関係しています。

豊かな感性を持ち、芸術面で優れている場合や繊細で微妙な変化に気づいたり、細やかな他者への配慮ができたり、強靭な精神力や鋭い判断力などを持ち合わせている人たちです。このような人たちは、物事を極めたり、広い人脈を作ることができたりとさまざま分野で活躍する可能性を秘めています。

しかし、全ての吃音の人が当てはまるわけではありません。優秀と言われる人達は、吃音であることを忘れるくらい夢中になるものに出会うことで偉業を成し遂げたと言えます。

③事実、吃音者に有名人・芸能人は多い

意外なことに、私たちが知っている有名人や芸能人にも吃音を抱えた人がたくさんいます。

研究者や作家・スポーツ選手などの有名人だけではなく、政治家やアナウンサー、俳優などの「言葉」をよく使う職業をしている人の中にも実は多くいます。

華麗な演説を行い、人々を魅了してきた田中角栄氏(元内閣総理大臣)も幼い頃から吃音で悩んでいた一人です。彼は、浪花節で吃音を改善したことで有名です。

吃音を原動力に!

アナウンサーの小倉智昭さんは、幼い頃から重度の吃音で同級生にからかわれていました。

この経験が原動力となり「同級生をいつか見返えしてやる!」という強い意志が生まれ、アナウンサーへの道を切り開いたそうです。仕事以外では、吃音が出てしまうことがあるそうですが、現在では、「とくダネ!」のメインキャスターとして活躍されています。

吃音克服のきっかけは、今の仕事!

現在も俳優・女優として活躍している、ハリウッドスターのブルース・ウィリスや秋野暢子さんは、若い頃に演劇をする機会があり、セリフを吃らずに言うことができたことがきっかけとなり吃音を克服することができたそうです。

大勢の人の前で演じている姿を見ていると吃音で悩んでいたとは想像がつきません。

吃音を個性に!

独特の歌い方で有名になったスキャットマン・ジョーンズ氏(ミュージシャン)は、吃音を武器に「テクノスキャット」という新しいジャンルの音楽を生み出し全世界で600万枚以上のCDを売り出しました。

歌っている時だけ吃音が出ないそうです。また、桂ざこばさん(落語家)も、吃音を個性にして活躍されています。

その他(敬称省略)

マリリン・モンロー(女優)、ジュリア・ローバーツ(女優)、タイガーウッズ(ゴルフ)、木の実ナナ(作家)、釈由美子(女優)、清水宏保(スケート)、内藤大助(ボクシング)、大江健三郎(作家)、藤沢周平(作家)など多くの有名人がいます。

吃音が治らないと言われていたのはなぜ?

普段の生活の中で、特徴がある行動や症状を持つ人に出会った時に、「この人は病気(障害)を抱えている」と思う人は少ないと思います。

以前は、うつ病や発達障害なども「気が弱い・努力が足りない」「変わり者・困った子」「親が悪い(しつけ)」などと言われ誤解されていました(現在では、原因が解明されつつあるので誤解は少なくなってきています)。

吃音も原因が解明されていないために、偏った認識や治療法が行われてきた時代があります。また、吃音症状はなかなか病気や障害と結びつきにくく、医療的治療の対象になっていなかったことも吃音が正しく認識されていない一つです。

吃音の症状や悩みを改善する方法はいくつかありますが、決定的な治療方法がないことが「吃音は治らない」と言われ続けている理由です。

①日本では間違った治療方法が定説となった

吃音に対する間違った治療法が定説となった原因には二つあります。一つ目は、吃音が精神的な緊張などの「心因性」によるものと認識され、心理療法が重視されていたことです。

心理療法は、吃音によって生じる不安や緊張、うつ状態などに効果があるとされています。吃音そのものを治療するわけではないので、全ての人にとって効果的な治療法とは言えませんでした。

近年、吃音は単一の理論や治療法で処置できるものではなく、複数の治療法を組み合わせる包括的なアプローチが必要との考えになりつつあります。偏った吃音の認識と治療法が「吃音は治らない」と広まった原因の一つと考えられます。

二つ目は、一部の吃音者が長期間の発声訓練や講談により吃音を治すことに成功し、「吃音の治療には発声訓練と講談で治る」と民間矯正所を開き、自分の矯正法の優位性を主張したことです。

努力をすれば吃音は治るといった精神論的治療方法が推奨され、間違った治療方法が定説となりました。日本で最初に大人の吃音の言語訓練を考案し、その後、本格的な言語療法に取り組んだ花忠一郎氏が開いた花沢研究所が有名です。

矯正法には、腹式呼吸や発声訓練の他に姿勢や身体トレーニングによる不安や緊張を取り除く訓練が行われます。全ての吃音者に有効ではありませんが、一部の人や症状は改善されたと言われている矯正法のようです。

②それにより日本は長らく吃音研究がなされていなかった

吃音は米国をはじめ諸外国で研究が進められています。一方、前述したように日本は間違った治療法が定説となったために、吃音に対して医療の介入はなく、研究対象ではありませんでした。

そのため長い間、研究が行われず、現在でも吃音に対して偏った認識を持っている人や吃音は治らないと思っている人も大勢います。しかし、間違った認識や治療法では効果が現れないことから医療分野として研究が行われるようになりました。

その後、日本では、2005年に発達障害支援法に吃音が含まれると表明され、2014年7月3日現在、国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが、ホームページ上に吃音の定義を掲載したことで急速に吃音は発達障害としての認識が広まりました。

現在、数は少ないですが研究機関もあり、原因や治療法が解明された部分もありますが、未だ解明できていないことが多いです。

③さらに吃音治療の専門家「言語聴覚士」も不足している

吃音治療は、基本的に言語聴覚士による訓練等になります。しかし、現在、吃音を専門とする言語聴覚士の数は不足した状態になっています。原因は、吃音が医療の対象外とされていたために言語聴覚士の育成過程で吃音について学ぶ機会がほとんどなかったためです。

さらには、前述したように吃音研究がされていなかったために医学的治療が確立されていないことも関係しています。

また、吃音治療を対象とした医療機関が少ないことで専門の言語聴覚士が不足している状態が続いていることも挙げられます。

吃音者は自分が吃音であることを隠す傾向があること、吃音は治らないと思っている(諦めている)、どこの病院にかかれば良いのか明確でないことが、吃音者の受診率が低いことにつながり、対象とした医療機関がなかなか増えません。さらには、吃音専門の言語聴覚士を志しても就労先が少ないことも原因と考えられます。

吃音と似ている「場面緘黙症」、「失語症」、併発しやすいSAD(社交不安障害)、鬱とは

吃音の人は、特定の場面で言葉が出ないことや話ができない、流暢に話すことができないなどの症状があります。このような症状がみられる疾患に「場面緘黙症」と「失語症」があります。いずれも言語やコミュニケーションに関わる能力に問題を抱えています。

また、吃音がある人は、不安や緊張が強いことやネガティブな感情を抱きやすい傾向を持っています。さらに気質や性格などの傾向から、吃音症状への葛藤や理想と現実のギャップから社交不安障害やうつ病を併発してしまう可能性が高くなります。

①場面緘黙症とは

家では、家族と何の問題もなく話をすることができるのに、家以外の特定の場所(幼稚園や学校など)では、ほとんど話しをしない、または、全く会話をしない現象です。

特定の場所や状況で起こるため選択性緘黙とも言われています。明確な原因はわかっていませんが、本人や家族の気質や環境への適応能力の問題などいくつかの要因が絡み合っています。先天的に不安になりやすい傾向があったり、内向的な性格の子どもが多いと言われています。

特定の場面では、話をすることはできませんが、表情や動作などではコミュニケーションを取ることが可能です。

また、不安が強い場合には、体が思うように動かないことや不安や恐怖を感じる場面を回避しようとして反抗的な態度を取ることもあります。

2~5歳頃に発症することが多く、早期の教育的介入により1~2年で克服できる場合もあります。成人になっても症状が続いている人もいます。

②失語症とは

大脳には(多くの人は左脳)言葉を司る言語領域があます。失語症は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害や頭部の外傷が原因でこの言語領域が損傷し、言語能力が障害される高次機能障害の一つです。

話すことができなくなるだけではなく、全ての言語表現能力、「話す」「聞く」「読む」「書く」ことが困難な状態になりまする(困難になる領域は脳の損傷部分により違う)。

失語症の種類には、話の内容は理解できるが流暢に話せない「ブローカ失語」、流暢に話せるが話の内容が理解できない「ウェルニケ失語」、物の名前が出てこない「健忘失語」、話す・聞く・書く・読む全ての機能に障害が出る「全失語」の4種類あります。

症状には、言葉が出てこない「喚語困難」、話の内容が理解できない「理解力障害」、言葉を言い間違える「錯誤」(単語の間違い「語性錯誤」発音の間違い「字性錯誤」)、限られたいくつかの言葉が繰り返される「残語」、同じ言葉が繰り返される「保続」があり、失語症の種類によってみられる症状が違います。

③それぞれの違い

〇場面緘黙症 

<発症年齢>一般的に2~5歳の時期に発症します。

<症状>家以外の特定の場面で、全くまたは、ほとんど話ができなくなってしまいます。特に言葉がしゃべれないわけでもコミュニケーションが取れないわけでもありません。

<原因>明確な原因はわかっていませんが、脳機能そのものに問題はなく、行動面や学習面となどにも問題が見られません。先天性の不安傾向や内向的な性格が関係している可能性があります。

<予後>早期の教育的介入により1~2年で克服できる場合もあります。成人になっても症状が続いている人もいます。

〇失語症

<発症年齢>脳血管障害が起こる中年期以降に多く見られますが、どの年代にも発症する可能性があります。

<症状>全ての言語表現能力、「話す」「聞く」「読む」「書く」ことが困難な状態になります。失語症の種類によっては会話や言葉を理解することができなくなる場合もあります。

<原因>脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や頭部外傷などによる脳(言語野)の機能障害です。

<予後>脳機能の障害の程度や損傷部位によって異なりますが、言語療法やリハビリを行うことで症状が軽減する場合もあります。右側の身体麻痺や視野障害などの後遺症が見られこともあります。

〇吃音

<発症年齢>発達性吃音は、一般的に2~5歳の幼児期に発症することが多く、獲得性吃音は青年期以降に発症します。

<症状>単音や単語の一部を連発して繰り返してしまう連発吃音、最初の言葉の一部を長く引き伸ばしてしまう伸発吃音、挨拶などの短い単語でも、言葉が出ない難発吃音があります。また随伴運動も見られる場合があります。

<原因>明確な原因はわかっていません。発達性吃音は、子どもがもともと持っている資質的要因、子どもの成長に合わせた発達要因、そして、子どもを取り巻く環境要因が互いに影響して発症すると考えられています。

一方、獲得性吃音は、脳機能や中枢神経などを損傷することによって発症したり、強烈な心的ストレスや外傷性ストレス(トラウマ)によっても発症したりすると言われています。

<予後>発達性吃音の7~8割は自然に治りますが、成人まで症状が続く場合や獲得性吃音の場合は、なかなか治りにくいと言われています。

④SAD(社交不安障害)とは

社交不安障害は以前、対人恐怖症と言われていました。字の通り、人前や人に会うことに不安や恐怖を感じてしまう症状です。「人見知り」や「恥ずかしがり屋」とは比較できないほどの強い不安と恐怖が継続し、人前で話や食事ができない、字を書こうとすると震えが止まらないなど日常生活に支障をきたします。

また、身体症状として赤面・震え・多汗などの自覚症状もあります。強い不安やストレスが、ノルアドレナリンを過剰分泌させ、自律神経のバランスを崩すことで起こります。

社交不安障害の人は他の疾患を併発することも多く、特にうつ病との併発率が高くなっており、併発している人の自殺率が高いことが問題となっています。また、吃音の人は、吃音のない人と比べて4倍、社交不安障害なる確率が高くなります。治療法は、薬物療法と心理療法が中心となります。

⑤鬱とは

気分が落ち込むなどの抑うつ気分と意欲の低下などの精神症状が継続して起こります。人によっては頭痛やめまいなどの身体症状も現れます。

うつ病の原因はひとつではなく、生活の中で起こるさまざまな要因が絡み合って精神的・身体的ストレスを引き起こします。そして脳内の神経伝達物質の中でも感情との関わりが深い「セロトニン」と「ノルアドレナリン」の分泌が不足することでバランスを崩し発症します。

きっかけとなりやすい要因は、「環境要因」です。対人関係や喪失体験(死別・離婚・財産・健康など)や役割の変化(昇進・結婚・出産など)など、本人にとって悪い出来事だけではなく、良い出来事でも環境の変化がきっかけとなります。

また、うつ病になりやすい「性格傾向」もあり、責任感が強い・完璧主義・几帳面・常に他人に配慮するなどの傾向を持つ人がなりやすいと言われています。

治療法は、主に3つの方法が有効とされています。休養、薬物療法(SSRI・NaSSAなどの抗うつ薬)、心理療法(認知行動療法やカウンセリングなど)を併用して治療を行っていきます。

⑥SAD、鬱、吃音の治す順番について

吃音の人はうつ病や社交不安障害を併せ持つ確率が高いですが、必ずうつ病や社交不安障害を併発するわけではありません。

吃音の人が抱える不安や緊張、それに伴うネガティブな感情が結果的にうつ病を引き起こします。また、吃音による失敗体験が予期不安を強め、結果、社交不安障害を引き起こします。

吃音そのものが原因ではなく、吃音があるために生じる考え方の歪みや強い不安や緊張・ストレスが原因です。吃音を先に治せば、併発した疾患も治るような気がしますが、治療の順序としてはうつ病や社交不安障害を優先させます。

薬物療法や心理療法(認知行動療法・森田療法など)などの治療を行うことで、精神的・身体的なストレスを軽減し、考え方の癖を直し、ネガティブな感情をなくすことでうつ病や社交不安障害を治すことができ、吃音症状も軽減していきます。

大人がなりやすい難発吃音の特徴と原因について

吃音には、2~5歳頃の幼児期に発症する発達性吃音と青年期以降に発症する獲得性吃音(症候性吃音)の2種類があります。

吃音の9割は、幼児期に発症(発達性吃音)して7~8割が思春期頃までに自然に治ります。一方、大人の吃音については、幼児期からの吃音が治らなかった場合と後天的な原因による獲得性吃音になります。

後天的な原因には、①神経学的疾患や脳機能の損傷、②心的なストレスや外傷体験により吃音が発症すると考えられています。

症状は、言葉が出ない難発吃音が多く見られます。幼児期の発達性吃音に比べて、言葉を発する機会が多いことや社会生活の中で回避できない状況が多いこともあり、大人の吃音者にとっては大変辛い症状です。

①難発吃音の特徴

〇特定のシュチュエーション

難発吃音の特徴として、特定の場面(場所・人など)で言葉を出すことができなくなります(特定の場面以外ではどもることなく話すことができます)。

特定の場面には電話や朝礼、結婚式のスピーチなど、人前で話をする場面で見られます。特に電話に関しては相手が見えない分、余計に不安や恐怖を抱えている人は多いです。ベルが鳴るだけで冷や汗や動悸が出る人もいます。

また、朝礼や人前でのスピーチでも前日から眠れなくなったり、何日も前から不安や緊張が継続したりします。

〇特定の言葉

難発吃音には特定の場面以外に特定の言葉だけ出すことができないこともあります。「あ」「お」「た行」「か行」など、人によって異なります。

特定の言葉を意識しすぎると出すことのできない言葉が増えていきます。言葉が出ない場合は、「お疲れ様」を「ご苦労様」などに言い換えることで状況を回避しています。同じ言葉でも最初の言葉のみ出すことができないことも特徴です。

〇自分の名前や会社の名前が言えない

自分の名前や会社の名前が言えない場合は、言い換えなどの方法を使うことができないために大人の吃音者が最も苦悩する状況です。

要因としては、脳の神経細胞(ニューロン)と伝達物質(シナプス)が関係していると考えられています。これは記憶の問題でもあります。通常、1度「自分の名前が出てこない」という記憶が作られても、また新しい「自分の名前を言う」という記憶が作られます。

しかし、同じ場面で同じ状況を繰り返すことで「名前がでない」ことが強化されてしまい、いつも自分の名前が出て来なくなってしまいます。

②きっかけ

〇会社のストレスや仕事の失敗、パワハラなどさまざま

会社に勤めるようになると、他人と関わらない、話をしなくても良いという環境の職種を選ばない限り、言葉や話をする毎日を送ることとなります。

挨拶・電話などは社会常識となっていて、吃音の人にとっては失敗することも多く不安や緊張から吃音を余計に悪化させてしまいます。

一般的に吃音に対する認識が低く、難発吃音の人に出会っても吃音と理解してもらえることはほとんどないのが現状です。不真面目と思われたり、社会人として劣っているなどレッテルを貼られる場合もあります。

〇子どものころからの吃音が固定化したも


幼児期の吃音の9割は自然に治りますが、幼児期に非常に強い不安や恐怖、トラウマになるような体験をしてしまった場合などは、大人になるまで症状が継続されます。

また、これらの経験は、連発吃音・伸発吃音の症状が重症化し難発吃音へ移行させてしまう場合が多いので、大人の吃音には難発吃音が多いと言えます。

③原因

〇脳機能の障害

生まれつき脳機能や構造が異なっています。話をしている時に右脳が過剰に活動することや聴覚野(音を聞いた時に活動する領域)の活動が低いことがわかっています。

また、言葉が出なくなってしまう状態は、神経伝達物質のバランスが崩れる(ドーパミンの過剰分泌・セロトニンの不足)ことや記憶に関わる神経細胞や伝達物質なども影響しています。

特に、難発吃音の場合は、ストレスや緊張から脳の記憶を司る海馬の機能が低下することで「バルサバル反射」が起こります。この反射は、言葉を流暢に出すことや喉が詰まる(アドレナリンの過剰分泌のため)、身体に不要な力が入るなどの状態を引き起こします。

〇「吃音」という言葉を知ってしまったことによるもの

吃音であることを自覚している人は少なく、第三者からの指摘により吃音であることを知る人は意外と多いです。

今まで気にせず普通に話ができていたのに、「話をしたくない」「恥ずかしい」などの感情が現れ、周囲を必要以上に気にしてしまいます。そのため、吃音が悪化したり慢性化したりします。吃音の人は、予期不安があり、不安や緊張が強くいつも吃音のことを考え悩んでいます。

④難発吃音の問題点

難発吃音は、吃音の症状の中で最も辛い症状です。自分では話したいのに言葉が出ない、理解しているのにわからないと思われる、コミュニケーションをとりたいのに取ることができないなど、本来の自分との葛藤や劣等感・不甲斐なさを感じやすいといえます。

ネガティブな感情を抱いてしまうことからうつ病や社交不安障害を併発してしまう確率も高いです。

また、仕事へのプレッシャー、かなりの緊張や不安を伴う状況下での仕事(電話・朝礼・大勢の前での発言など)など、多くのストレスがあり回避することが難く、吃音が余計に悪化してしまうという問題もあります。

幼児期の吃音と違い、言葉が出ないという症状なので吃音と気づいてもらえないことや吃音を隠すテクニック(言い換えや回避できる状況を回避するなど)を覚えるために相談することもできずに悩んでいる人も多くいます。

吃音者が辛いと感じる日常における場面

日常生活の中でどのくらい言葉を発したり、話をしたりしているのでしょうか。

また言葉を発することや話すことに不安や緊張、恐怖を感じることはどのくらいあるのでしょうか。普段の何気ない生活の中でも、さまざまな場面において吃音のある人は辛い思いをしていることがあります。

日常生活の中で人と会話をしなくても言葉を発する場面は多くあります。物を買う時や何かを注文する時、近所の人と挨拶する時、自分の名前を名乗る時・・。

そのような時、吃音の人は、自分の言いやすい言葉に言い換えているかもしれません、欲しいものを注文できずに我慢してしまうかもしれません、人を避けてしまうかもしれません。

吃音の人たちは、他者に吃音症状を気づかれないように常に努力をし、本人にしかわからない苦悩を抱えて生活をしていると言われています。

①吃音で一番辛いのは難発吃音

吃音には3つの症状があります。

  • ①連発:「お、お、お、おはよう」単語の一部を連発して繰り返してしまう
  • ②伸発:「おーーーーーーはよう」最初の言葉の一部を長く引き伸ばしてしまう
  • ③難発:「・・・・おはよう」、「お・・・・はよう」すぐに声がでない、言葉に詰まる、最初の音の後が続かないなど

の症状があります。これらの症状は段階を経て重症化し複雑に絡み合っています。連発症状や伸発症状で悩んでいる人も多くいますが、難発症状へ移行した多くの人が、難発症状は、本人以外の人にはわからない想像を絶する苦痛を伴うと言っています。

難発吃音は、話したいのに言葉が出ない、理解しているのにわからないと思われる、コミュニケーションをとりたいのに取ることができないなど、自分の思い通りに行かないことや意思が伝わらない、吃音のために他者に誤解されているなど、自分ではどうにもならない苦しみがあると言われています。

②吃音の負のスパイラル「予期不安と自己嫌悪」

吃音の人は常に吃音のことを考え、「上手に話さなければ」「また、どもるかもしれない」などという不安や緊張、恐怖という感情を抱いていると言われています。

そして、以前に吃音で恥ずかしい思いをしたり、失敗してしまった経験などがある場合、または苦手な言葉・場面など想像した場合などでは、いつもより不安や緊張・恐怖などの感情が強まり精神的なストレスとなっていきます、これを予期不安と言います。

そして、実際に同じような恥ずかしい体験や失敗してしまうと「吃音でうまく話せない自分が不甲斐ない」「自分は何をやってもダメな人間だ」などの自己嫌悪に陥ってしまいます。このような経験を繰り返していくと吃音症状を悪化させることになります。

さらには、人との関わりを避けることや自分のやりたいことより失敗しないことを選択する、何もできない、何もしたくないなどの負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。

③大人のケース

社会生活を送るようになると、話をしなければならないことが多くなり、避けては通れない状況や場面が増えたりと吃音の方にとって辛いことが多いのではないでしょうか。

社会人の最初の難所は、就職面接だと言われています。面接は誰でも緊張します。特に吃音の人は、「上手に喋らなければ」「吃音があることがバレないか」「自分を少しでも良く見せたい」との思いがあるため緊張します。

また、面接特有の張りつめた雰囲気・面接官の人数や態度・集団での面接などが一層、不安や緊張を強めます。さらに、社会人になると朝礼での挨拶や電話の取り次ぎ、プレゼンテーションなども避けては通れず、吃音の人には苦悩であり、前日に眠ることができなかったり、会社に行けなくならないかなどを考えたり、重症になると死んでしまいたい、とまで思うことがあるそうです。

いずれも大勢の人の前で、失敗したくない、恥をかきたくないという気持ちが強いために吃音の人が辛く苦しい思いをしていると言えます。職種によってもことなりますが、吃音であることを会社に伝えることで多少、辛い場面は減ることと思いますが、本人にとって会社に伝えることは難しいことのようです。

④子どものケース

子どもの吃音では、本人が症状に気づいていない場合や子どもの情動や情緒が環境に左右され不安定になりやすいなどのことから親や先生の対応によって子どもが辛いと感じる場面が異なってくると思います。

吃音症状のある子どもは、学校生活の中で朗読・発表・号令・自己紹介の順で辛い思いをしていると言われています。

例えば、朗読では読めるのに読めないと思われる、発表ではわかっているのに解らないと思われるなど、吃音のために子ども自身の能力がないと思われてしまうことがあります。本人が吃音に気づいていない場合でも5歳位になると周囲の子どもが気づき、からかいやいじめが始まると言われています。

また、「落ち着いて話しなさい」など子どもの話し方について注意や矯正をすることや子どもの吃音について触れないようにするなどの大人の態度は、子どもが「自分は他の人と違うのではないか」、「おかしいのではないか」と子どもの心を傷つけてしまう可能性もあります。

親や先生が吃音について正しく理解した上で、吃音のある子どもへの配慮や支援を行うことで子どもが辛い場面を少なくすることができるのではないでしょうか。

子どもがどもりだしたらどうすればいい?

吃音は2~5歳くらいに発症することが多く、その中でも4割くらいは突然発症するといわれています。吃音の原因は解明されていませんが、子どもの時に発症した吃音の7~8割は小学生頃までには自然に治ることが多いようです。

突然子どもに吃音症状が現れたら親はどうするでしょうか。多くの親は、驚き、戸惑い、吃音が出る直前までの自分の行動を振り返り、自分のどのような行動が原因なのかを色々と考え、責めてしまうと思います。

しかし、親がするべき重要なことは、原因の追求や自分を責めることではなく、吃音についての正しい知識や理解、専門機関(乳幼児健診・保健センター・発達支援センター・医療機関・ことばの教室などへの相談)への相談など、子どもにとって良い環境(子どもの特性にあっている環境)を早めに整えてあげることが必要だと思います。

①親・家族の対応

以前は、吃音症状がでるのは、しつけや育て方が原因と言われていましたが、現在では吃音の原因ではないと考えられているので、親は自分を責める必要はありません。

しかし、子どもの環境を見直してみる必要はあるかもしれません。子どもの発達段階(言葉の習得や理解力、身体発達など)に合わせた環境で生活をしているでしょうか。いつの間にか、大人と同じような複雑な環境になっているかもしれません。

知らないうちに子どもが強いプレッシャーを感じているかもしれません。親の態度は、子どもにとってかなりの影響力があります。子どもは親に認めてもらいたいと思っているために、吃音の子どもへの対応にもいくつかの注意が必要になります。

成長するとともに子ども自身が自分の話し方に違和感を持つことや周囲の子どもから話し方についてからかいがあったりしてきます。そのような時は、吃音の話を誤魔化すのではなく、「吃音は悪いことでも恥ずかしいことではない、ましていけないことでもない」としっかりと教えてあげることで不安や自信を失くさないようにしてあげることが重要です。

また、吃音があるとかわいそうになってしまったり、話がなかなか進まないので、子どもが一生懸命話をしていても遮ってしまったり、会話を先取りしてしまうこともあります。このような態度は、子どもが話をする意欲がなくなってしまう可能性もありますので、親は話をするのをじっと待ってあげることが大切です。

②幼稚園(保育園)や学校へのお願い

幼稚園や学校の先生でも吃音の知識をもっている人が多くなってきたと思いますが、一般的にはまだまだ理解が十分でないように思われます。そのため、子どもの吃音についての知識や対応、また周囲の子どもへの対応などをあらかじめお願いしておくと良いでしょう。

吃音症状に対するからかいやいじめが始まるのが5歳ころからと言われていますので、先生方にはからかいやいじめがないか常に目を配っていて欲しいこと、周囲の子どもたちから、吃音についての質問があった場合やからかいなどが起こった場合は、吃音についての正しい知識を教えながらも「吃音は悪いことでも、恥ずかしいことでもない」ことをきちんと伝えてもらう。

また、子どもの吃音の症状に注目して評価するのではなく、最後まで話をするのを待った上で評価してほしいこと、またその際に「落ち着いて、ゆっくり」などの声掛けは不要であることなどを具体的に提示します。吃音によって子どもの自己肯定感が低くならないよう、周囲の大人の配慮と支援が重要となります。

③友だちからかわれた時

吃音についてからかわれたり、いじめられたりしていてもそのことを素直に親に相談をすることに抵抗をもつ子どもも多いのではないかと思います。

子どもに、「自分はなぜ、どもるの?」「他の子と話し方が違うの?」などの質問があった場合は、周囲の子どもに吃音について何かを言われたサインかもしれません。そのような時は、子どもの話をしっかり聞いてあげることと素直に吃音について話してください。

「○○ちゃんは、お話が好きで一生懸命お話しようとしてくれるから、少し焦っちゃうのかな」、「話をするときに少しつっかえてしまう癖があるみたいだね」など、吃音は恥ずかしくも悪くもなく、一つの個性であることをわかりやすく説明してあげてください。

子どもが自分の個性を受け入れ、吃音があっても自信を持っていることで、からかいは減ってくると思います。子どもが何でも相談したり、困ったことを話せることができるような親子関係を気づくことが大切です。

薬物療法と言語聴覚フィードバックの問題点

現在、薬物療法・言語療法・心理療法が吃音の主な治療法と言われています。これらは、吃音症状を直接治すわけではなく、吃音を軽減させる環境を作ることで症状を改善していこうとする考えの治療法です。

しかしながら薬物療法には薬を服薬するために当然、副作用の問題があります。また言語聴覚フィードバックも機器を購入しなければならないことや常時装着していないといけないなどの問題もあります。

どのような治療方法にも長所や短所があります。後述する薬物療法と言語聴覚フィードバックの問題点を踏まえた上で、自分に合う治療法を検討していければと思います。

①薬物療法の種類

SSRI(パキシル、ルボックス、デプロメールなど)

SSRI(選択性セロトニン再取り込み阻害剤)は、2000年頃から使用されるようになった抗うつ薬です。うつ病や不安障害は、三大神経伝達物質の一つであるセロトニンが不足していることが原因の一つと考えられています。

セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの過剰分泌を抑え、心のバランスを整える作用があります。SSRIは、セロトニンを増やす働きや分解・吸収されないようにする作用があります。従来の抗うつ薬(三環系)に比べて副作用が少ないのが特徴です。

抗不安薬・精神安定剤(デパス、メイラックスなど)

抗不安薬・精神安定剤ともに不安や緊張を和らげる作用を持つ薬です。精神安定剤は以前、抗精神病薬と抗不安薬の総称とされていましたが、現在では「精神安定剤=抗不安薬」として使われています。薬の種類が多く、不安の強さや作用時間によって症状に合う薬が処方されます。また眠気などの副作用がでることがあります。

βブロッカー(インデラル・テノーミンなど)

交感神経の働きを抑える作用のある薬です。強いストレスや緊張は、交感神経の働きを高め、血管の収縮や筋緊張を引き起こします。そして血圧・心拍数の上昇、動悸や不整脈の症状となって現れます。

本来は高血圧や狭心症の治療に用いられていましたが、緊張やあがり症にも効果があるして使用されています。SSRIなどの抗うつ薬との併用で用いられることも多いそうです。

②SSRIの副作用と問題点

従来の抗うつ薬(三環系うつ剤)と比べて副作用が少なく安全性か高いと言われていますが、全く副作用がないわけではありません。

SSRIは、消化器管に存在するセロトニンに働きかけるため、吐き気や嘔吐などが多く認められています。また、個人差はありますが眠気や不眠などの症状の他、口渇・便秘、めまい ふらつき、体重増加、性機能障害、などの副作用が出ると言われています。

パキシルなどの一部の薬は、急に中止すると離脱症状が現れます。さらには、服薬開始時や増量時にはアクチベーション症候群(賦活症候群)と言われる、不安やイライラ、怒りっぽくなる、身体がムズムズしてじっとしていられないなどの症状がみられる場合もあります。

気分を楽にさせたり、意欲を高めたりする効果があるため、吃音に対する日常的な不安や恐怖が軽減される可能性はあるかもしれません。しかし、眠気や吐き気、口渇などが副作用として現れてしまうことは、発声や発語の妨げの要因となりうる可能性もあります。また、極度の緊張状態による身体症状と同じ状態である場合や眠気により日常生活を送ることに支障が出るように思えます。

③抗不安薬・精神安定剤の副作用と問題点

抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)には、①抗不安作用、②催眠作用、③筋弛緩作用、④抗けいれん作用の4つの働きがあり、抗不安作用の強弱と作用時間によって薬の種類が異なります。作用が強く、長時間効果が持続する薬ほど副作用が強いと言えます。

抗不安薬は、脳内の中枢神経を抑制する働きがあるため、眠気やふらつきが出る可能性があります。特に注意しなければならないのが、依存性です。

薬の種類や服用期間などで異なりますが、服用し続けていると耐性(薬に慣れてしまう)ができてしまうことや身体依存(急に服用を中止すると思考能力の低下やイライラ、焦燥感が出現)が形成されると言われています。

吃音の人にとって不安や緊張、筋緊張の緩和は症状の軽減に効果的とも思えますが、薬がないと落ち着きがなくなる、不安が強まる、また震えやめまい、頭痛などの身体症状が現れてしまっては悪循環に陥っているように思えます。

④βブロッカーの副作用と問題点

βブロッカーは、血圧を下げ心拍数を抑える薬のため、心臓だけではなく身体全体に副作用が現れることがあります。心拍数をさげるためには、心臓に働きかけていきます。

心臓は血液循環を行い、血液中から酸素を取り込んでいます。心拍数が下がりすぎてしまう(心拍数1分間60~50以下)と血液循環が弱まり酸素が不足しさまざまな副作用が出現します。希に重篤な場合は、心不全や心房ブロックなどの副作用があります。

主な副作用は、徐脈、低血圧、疲労 倦怠感、めまい、不眠、手足のしびれ(末梢神経炎)目の乾燥などがあります。その他には、抑うつ状態になる、悪夢を見るなどの精神症状も見られる場合があります。

吃音の人にとって、強い緊張や不安・ストレスによる血管収縮や動悸などを抑えるため薬ですが、うつ状態などの精神症状を併せ持っている場合もあり、めまいや倦怠感、不眠、悪夢などの副作用は、意欲の低下などを強めてしまう可能性もあり日常生活に支障をきたす場合もあると考えられます。

⑤言語聴覚器の種類

DAF(遅延聴覚フィードバック)は、1人より他者と声を合わせて発話すると症状が出にくいといわれている「二人読み効果」の原理を用いた機器(マイクとイヤホン)を使用することで吃音症状を軽減させるという治療法です。

マイクを通して発した自分声が少し遅れて(0.2秒後)、周囲の声として自分の耳に届く仕組みになっており、擬似的にほかの人と一緒に話す状況を作り出すことで吃音症状を緩和していくことを目的としています。

FAF(周波数変換フィードバック)は、DAF同様の治療法ですが、フィードバックされた自分の声が、少しピッチが上がった状態で戻ってきます。

DSA(吃音抑制装置)日本の吃音協会が独自に企画開発した装置で、DAF機能とFAF機能を併せ持っています。使用の際には吃音の知識または、装置の設定に詳しい人の指導下での装着が必要です。

⑥言語聴覚フィードバック法の問題点

・難発性吃音の人には効果が認められない(声が出ないのでフードバックができない)。
・発表や朗読には効果があるようですが、会話などには効果がないと言われています。
・自分の声を聴きながら話しをすることで症状を軽減させるために、話すテンポが遅くなり、抑揚のない不自然な話し方になってしまいます。
・機器が10万円位の高額であるため、気軽に購入することが困難であり、FAFに関しては、日本では発売されていないために海外から購入しなければなりません。
・機器を装着していないと効果がないため、常時マイクやイヤホンを装着しないといけないこと、また、イヤホンやマイクを装着可能な生活場面が限られているなどの問題点があります。

吃音の治療方法ってどんなのがあるの?

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吃音の治療には、腹式呼吸や発声練習、話し方の工夫、考え方を少し変えてみることなどのすぐに始められるものから言語療法、薬物療法など医療機関への受診が必要なものまでさまざまな方法があります。

同じ病気を持っていても治療方法はその人によって異なります。どのような病気にも「万人に効果がある治療方法」は存在しないのです。

吃音も同様に、さまざまな治療方法の中で、自分に合う方法を早めに見つけることがとても大切です。また、吃音が発症する要因は一つではないので、さまざまな角度からのアプローチが必要と考えられています。

自分に合う治療方法を見つけるためには、自分の吃音症状の正しい知識を持ち、理解することが重要です。

①発語トレーニング

吃音に効果的といわれている治療法に腹式呼吸や発声練習があります。腹式呼吸は、横隔膜を動かし肺を伸縮させることで血流を良くし、自律神経を整える働きをします。

自律神経が正常になるとリラックス効果が現れ、不安や緊張が強い場合や筋緊張しやすい人などの症状が改善した例があるそうです。

しかし、腹式呼吸は意識して行わないと難しく、慣れていないと吃音を悪化させてしまうため訓練が必要と言われています。

また、腹式呼吸と発声練習を同時に行うと相乗効果が得られると言われているようですが、発声練習も同様に正しく行わないと吃音を悪化させてしまう可能性があるそうです。両者とも気軽に始められる治療法ですが、正しい知識を持ち、継続して訓練をしていく必要があると言われています。

マウスピース矯正も効果があると言われていましたが、現在では根拠のある治療効果が認められていため行われていないようです。

②言語聴覚フィードバック

吃音の人には、一人で話す時より他人と声を合わせて話すと吃音が出にくいという「二人読み効果」と言われる傾向があります。

DAF(遅延聴覚フィードバック)は、自分が発した声が少し遅れて、周囲の声として自分の耳に届く仕組みになっていて、「二人読み効果」の原理を用いています。専用の機器(マイクとイヤホン)を使い、擬似的にほかの人と一緒に話す状況を作り出し、吃音症状の軽減を目的とした治療法です。

また、仕組みはDAFと同じですが、FAF(周波数変換フィードバック)という、フィードバックされた自分の声が、少しピッチが上がった状態で戻ってくる機器もあります。

両者も難発性吃音の人には効果が認められません(声を出すことができないためにフードバックができないため)。

また、発表や朗読には効果があるようですが、会話などには効果がないことや機器が高額であること、常時マイクやイヤホンを装着しないといけないことなどの問題点も多くあるようです。

一方、吃音を軽減できた体験から不安や緊張が軽減され治療へのきっかけとなる場合もあるようなので一度簡易版で体験してみるのも良いのかもしれません。現在では、スマートフォンのアプリやインターネットなどで体験ができるそうです。

③バルサルバ反射抑制法

息を止めて力むことで副交感神経が緊張し、身体の一部に筋緊張が起こり、血圧や心拍数が上昇したり、想像以上の力を発揮したりする(火事場の馬鹿力)ことを「バルサルバ効果」と言います。

このバルサルバ効果で現れる筋緊張が頻繁に、反射的に起こることが「バルサルバ反射」です。呼吸や発声、心拍数や血圧上昇など自律神経の働きに影響しているため、吃音症状、特に難発性吃音の原因ではないかと考えられています。このバルサルバ反射を抑えることで吃音症状を軽減させようとする方法です。

腹圧を上げて副交感神経の働きを高めることで血圧や心拍数の上昇を抑え、筋緊張をほぐし症状を緩和していく方法ですが、反射は自分の意図とは異なる不随運動のためかなりの訓練が必要なようです。

④薬物治療

吃音に対する薬物療法では、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗精神病薬、抗不安薬などが処方されます。薬物療法と聞くだけで敬遠してしまう方も多いと思いますが、上手に取り入れることで吃音症状を軽減させる環境を作ることができるそうです。

吃音の原因であると考えられている一つに、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れてしまうこと(ドーパミンの過剰分泌・セロトニンの不足)が関係していると言われています。上記の薬などには、この神経伝達物質のバランスを安定させる作用があります。また、極度の緊張状態や不安感、恐怖感なども緩和してくれる働きがあると言われています。

薬には副作用があります。副作用の出方は人それぞれですが、必ず医師と相談しながら治療を行って行くことが大切です。

⑤セラピーや催眠療法

誰でも「間違ってはいけない」、「上手に話さなければ」、と思えば思うほど言い間違えたり言葉に詰まったりしますよね。吃音の人は「上手に話そう」、「どもらないようにしなきゃ・・」など吃音のことを常に強く意識していることと思います。

自分では意識していないと思っている人も潜在意識(無意識)では考えてしまっていることがあるそうです。セラピーや催眠療法は、この潜在意識(無意識)の中にある心の在り方や考え方などに働きかけることで予期不安や緊張、恐怖などを和らげていきます。

「吃音のために上手に話すことができない」というマイナスイメージを排除し、「上手に話すことができる」というプラスイメージをインプットしていくことで症状を改善させていこうという方法です。いずれも催眠療法士、カウンセラーなどが在籍する専門機関で受けることができるようです。

⑥マインドフルネス

近年、吃音の改善に効果があるとして注目されているのが、「マインドフルネス」というアメリカで話題となっている瞑想法です。日本では「気づきの瞑想法」と言われているようです。自分の思考の癖(認知の歪み)に気づきを向け、現実をあるがままに受け入れ、感情や思考にとらわれないという考えです。

吃音の人は「吃音がでたらどうしよう」という予期不安があります。予期不安は吃音症状を悪化させます。そこでマインドフルネスでは、「吃音で失敗した」、「吃音が出たらどうしよう」という過去や未来にとらわれることなく「今この瞬間」に注目します。呼吸法を通して呼吸・身体・思考など「今の自分を客観的に捉える」ことで、吃音症状を改善していくという考えです。

吃音とは

緊張したり、驚いたり、怖い思いをしたときなどに言葉に詰まったり、声が出なくなってしまったという経験をしたことがありませんか? 多くの人は、1度くらいは経験しているのではないでしょうか。

吃音とは、このような言葉に詰まることや声が出ないなどのことが日常的に起こり、話し言葉がスムーズに出てこない、滑らかに話すことがでないために社会生活に支障をきたす発達障害(発話障害)の一つです。

吃音の種類は「発達性吃音」と「獲得性吃音」の2種類に分けることができます。

・発達性吃音(先天性) 
  発達性吃音は吃音全体の9割を占めています。
発症時期は、2~5歳くらいの幼児期で、特に男の子に多く見られます。
発症率は、人口の5%程度。成長に伴って自然に治ることが多く、成人まで吃音が見られることは1%程度となります。

・獲得性吃音(後天性)
  青年期以降(10代後半~)に発症する吃音です。
  脳機能や中枢神経などを損傷することによって発症したり、強烈な心的ストレスや外傷性ストレス(トラウマ)によっても発症したりすると言われています。
    

1.原因とされるもの

発達性吃音の原因は解明されていません。現段階では、子どもがもともと持っている資質的要因、子どもの成長に合わせた発達要因、そして、子どもを取り巻く環境要因が互いに影響して発症すると考えられています。

舌、声帯の身体障害

吃音の人が話をする(声をだす)時に声帯が閉じていたり、喉の筋肉に不要な力がかかっていたりすることがわかっています。そのため咽頭・喉頭などの身体障害が吃音の原因ではないかと言われてきました。しかし、喉頭を取り除いた人にも吃音が認められたために身体障害だけが原因ではないようです。

子供の頃の左利き矯正や厳しい躾

親は子どものためと思い、「利き手は右手」「躾は厳しく」という家庭も多くあることでしょう。しかし、あまりに厳しい躾も吃音を引き起こしてしまう可能性があると言われています。

「厳しい躾」が悪いのではなく、子どもがもともと持っている言語・認知の発達過程に比べて、速すぎたり複雑すぎたりする発話環境や運動発達に比べて高すぎる生活環境などを「躾」として求めてしまっていることが影響しているようです。

また、子どもの情緒や情動の不安定さなどにも関係してきます。いずれも個々の子どもに合った「躾」を行わなければ、子どもにとっては、強いプレッシャー・不安・恐怖・劣等感などの情緒や情動に大きな負担をかけた環境となり得ます。

左利き矯正を行うことが原因といわれているもう一つには、左利きでもともとバランスが取れていた右脳と左脳が矯正をすることによってバランスを崩してしまうことで吃音が発症してしまうと考えられています。

仕事のストレス、精神疾患

仕事のストレスには、対人関係や仕事へのプレッシャー、かなりの緊張や不安を伴う状況下での仕事(大勢の前での発言など)など、多くのストレスがあり回避することが難しいと思います。しかし、過度なストレスや緊張が原因で身体に異常をきたしが、吃音が発症することがあります。これは、難発性吃音と言われ、言葉がつまり声が出なくなる症状です。

ストレスや緊張から脳の記憶を司る海馬の機能を低下させ、言葉がすらすら出てこなくなることやアドレナリンが過剰に分泌され喉が詰まる、身体に不要な力が入ってしまどの(バルサバル反射)が吃音を引き起こしていると言われています。

遺伝

家族に吃音者がいる場合、3~5割前後の割合で子どもに遺伝すると言われています。そして近年、吃音に影響を及ぼす遺伝子も発見されました。しかし、吃音遺伝子を受け継いでいる子どもの割合は1/10程度に留まっています。

家族に吃音者がいる場合、子どもが吃音になる確率は高いと言えますが、遺伝子の確率を見ると、子どもを取り巻く環境要因(言葉を覚えるなどの成長段階で吃音を覚えてしまうなど)が大きく影響しているように思えます。

脳の障害

吃音のある人は、生まれつき脳機能や構造が異なっています。話をしている時に右脳が過剰に活動することや聴覚野(音を聞いた時に活動する領域)の活動が低いことがわかっています。

獲得性吃音のように後天的に吃音を発症してしまった場合でも、脳の機能障害により神経伝達物質のバランスが崩れる(ドーパミンの過剰分泌・セロトニンの不足)ことや記憶や言語処理に関係するワーキングメモリーに影響を与えるため、吃音を発症すると言われています。

2.症状としてはどんなものがある

吃音の主な症状には3タイプあり、1つ以上が必ずみられます。

連発

単音や単語の一部を連発して繰り返してしまう、「お、お、お、おはよう」

吃音と聞いて一番にイメージするタイプの症状です。

伸発 (引き伸ばし)

最初の言葉の一部を長く引き伸ばしてしまう、「おーーーーーはよう」

難発(ブロッキング)

挨拶などの短い単語でも、すぐに声がでない、言葉に詰まる、最初の音の後が続かないなど「・・・・おはよう」、「お・・・・はよう」吃音の人が最も辛い症状です。
 
これらの症状は、初期の難発性→連発性→伸発性→難発性へと段階を経て重症化していきます。そして、一つひとつが独立して発症していることはなく複雑に絡み合っています。さらに、これらの症状とともに不自然な身体の動きが見られることがあります。

  • 目がパチパチ動くなどの必要以上の瞬き
  • 貧乏ゆすりのように足を動かしたり、足踏みをしたりする
  • 手を振って勢いをつけて話す、など随伴運動と言われる症状です

 

3.吃音の不思議

歌や独り言なら吃らない

吃音の人の話し方には、「単調に話す」という特徴があります。歌(メロディー)は抑揚がありメロディーのながれを意識して発声しているために吃音が起こりにくいと言われています。

そして、独り言も吃音が軽減される傾向にあります。独り言は、会話ではなく短い言葉を発するために吃音が発症しにくいようです。

また、吃音が発症する際は、人との会話や大勢の前での発言などが多く、かなりの緊張や不安など精神的に負担が大きい状態の場合だと考えられます。独り言は、あくまでも独り言のなで・・周囲を気にせず、心身ともにリラックスしていることが良いのではないのでしょうか。

4.吃音かなっと思ったら

自分が吃音かどうかをチェックするには、まず自分がいつもどのよう話し方をしているのかを知ることが重要です。そして、吃音の主な症状が見られるかどうかをチェックしていきます。

また、動画などで自分の会話の様子を確認することができる場合は、会話をしている際の不自然な身体の動きなどについてもチェックして行くと良いでしょう。

自分の話し方を知る方法

①自分が話している様子を録音してみる(ICレコーダーなど)
②会話をしている自分を録画してみる(ビデオや動画機能など)

チェック項目

  • 言葉の一部を連続して繰り返していないか
  • 最初の言葉の一部を伸ばして話しをしていないか
  • 頻繁に言葉が詰まっていないか
  • 長い言葉だけではなく、短い言葉でも詰まってしまうか
  • すぐに言葉がでているか
  • 最初の音から続かないことはあるか、などの項目をチェックしてみてください