吃音の治療方法ってどんなのがあるの?

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吃音の治療には、腹式呼吸や発声練習、話し方の工夫、考え方を少し変えてみることなどのすぐに始められるものから言語療法、薬物療法など医療機関への受診が必要なものまでさまざまな方法があります。

同じ病気を持っていても治療方法はその人によって異なります。どのような病気にも「万人に効果がある治療方法」は存在しないのです。

吃音も同様に、さまざまな治療方法の中で、自分に合う方法を早めに見つけることがとても大切です。また、吃音が発症する要因は一つではないので、さまざまな角度からのアプローチが必要と考えられています。

自分に合う治療方法を見つけるためには、自分の吃音症状の正しい知識を持ち、理解することが重要です。

①発語トレーニング

吃音に効果的といわれている治療法に腹式呼吸や発声練習があります。腹式呼吸は、横隔膜を動かし肺を伸縮させることで血流を良くし、自律神経を整える働きをします。

自律神経が正常になるとリラックス効果が現れ、不安や緊張が強い場合や筋緊張しやすい人などの症状が改善した例があるそうです。

しかし、腹式呼吸は意識して行わないと難しく、慣れていないと吃音を悪化させてしまうため訓練が必要と言われています。

また、腹式呼吸と発声練習を同時に行うと相乗効果が得られると言われているようですが、発声練習も同様に正しく行わないと吃音を悪化させてしまう可能性があるそうです。両者とも気軽に始められる治療法ですが、正しい知識を持ち、継続して訓練をしていく必要があると言われています。

マウスピース矯正も効果があると言われていましたが、現在では根拠のある治療効果が認められていため行われていないようです。

②言語聴覚フィードバック

吃音の人には、一人で話す時より他人と声を合わせて話すと吃音が出にくいという「二人読み効果」と言われる傾向があります。

DAF(遅延聴覚フィードバック)は、自分が発した声が少し遅れて、周囲の声として自分の耳に届く仕組みになっていて、「二人読み効果」の原理を用いています。専用の機器(マイクとイヤホン)を使い、擬似的にほかの人と一緒に話す状況を作り出し、吃音症状の軽減を目的とした治療法です。

また、仕組みはDAFと同じですが、FAF(周波数変換フィードバック)という、フィードバックされた自分の声が、少しピッチが上がった状態で戻ってくる機器もあります。

両者も難発性吃音の人には効果が認められません(声を出すことができないためにフードバックができないため)。

また、発表や朗読には効果があるようですが、会話などには効果がないことや機器が高額であること、常時マイクやイヤホンを装着しないといけないことなどの問題点も多くあるようです。

一方、吃音を軽減できた体験から不安や緊張が軽減され治療へのきっかけとなる場合もあるようなので一度簡易版で体験してみるのも良いのかもしれません。現在では、スマートフォンのアプリやインターネットなどで体験ができるそうです。

③バルサルバ反射抑制法

息を止めて力むことで副交感神経が緊張し、身体の一部に筋緊張が起こり、血圧や心拍数が上昇したり、想像以上の力を発揮したりする(火事場の馬鹿力)ことを「バルサルバ効果」と言います。

このバルサルバ効果で現れる筋緊張が頻繁に、反射的に起こることが「バルサルバ反射」です。呼吸や発声、心拍数や血圧上昇など自律神経の働きに影響しているため、吃音症状、特に難発性吃音の原因ではないかと考えられています。このバルサルバ反射を抑えることで吃音症状を軽減させようとする方法です。

腹圧を上げて副交感神経の働きを高めることで血圧や心拍数の上昇を抑え、筋緊張をほぐし症状を緩和していく方法ですが、反射は自分の意図とは異なる不随運動のためかなりの訓練が必要なようです。

④薬物治療

吃音に対する薬物療法では、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗精神病薬、抗不安薬などが処方されます。薬物療法と聞くだけで敬遠してしまう方も多いと思いますが、上手に取り入れることで吃音症状を軽減させる環境を作ることができるそうです。

吃音の原因であると考えられている一つに、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れてしまうこと(ドーパミンの過剰分泌・セロトニンの不足)が関係していると言われています。上記の薬などには、この神経伝達物質のバランスを安定させる作用があります。また、極度の緊張状態や不安感、恐怖感なども緩和してくれる働きがあると言われています。

薬には副作用があります。副作用の出方は人それぞれですが、必ず医師と相談しながら治療を行って行くことが大切です。

⑤セラピーや催眠療法

誰でも「間違ってはいけない」、「上手に話さなければ」、と思えば思うほど言い間違えたり言葉に詰まったりしますよね。吃音の人は「上手に話そう」、「どもらないようにしなきゃ・・」など吃音のことを常に強く意識していることと思います。

自分では意識していないと思っている人も潜在意識(無意識)では考えてしまっていることがあるそうです。セラピーや催眠療法は、この潜在意識(無意識)の中にある心の在り方や考え方などに働きかけることで予期不安や緊張、恐怖などを和らげていきます。

「吃音のために上手に話すことができない」というマイナスイメージを排除し、「上手に話すことができる」というプラスイメージをインプットしていくことで症状を改善させていこうという方法です。いずれも催眠療法士、カウンセラーなどが在籍する専門機関で受けることができるようです。

⑥マインドフルネス

近年、吃音の改善に効果があるとして注目されているのが、「マインドフルネス」というアメリカで話題となっている瞑想法です。日本では「気づきの瞑想法」と言われているようです。自分の思考の癖(認知の歪み)に気づきを向け、現実をあるがままに受け入れ、感情や思考にとらわれないという考えです。

吃音の人は「吃音がでたらどうしよう」という予期不安があります。予期不安は吃音症状を悪化させます。そこでマインドフルネスでは、「吃音で失敗した」、「吃音が出たらどうしよう」という過去や未来にとらわれることなく「今この瞬間」に注目します。呼吸法を通して呼吸・身体・思考など「今の自分を客観的に捉える」ことで、吃音症状を改善していくという考えです。

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