吃音者が辛いと感じる日常における場面

日常生活の中でどのくらい言葉を発したり、話をしたりしているのでしょうか。

また言葉を発することや話すことに不安や緊張、恐怖を感じることはどのくらいあるのでしょうか。普段の何気ない生活の中でも、さまざまな場面において吃音のある人は辛い思いをしていることがあります。

日常生活の中で人と会話をしなくても言葉を発する場面は多くあります。物を買う時や何かを注文する時、近所の人と挨拶する時、自分の名前を名乗る時・・。

そのような時、吃音の人は、自分の言いやすい言葉に言い換えているかもしれません、欲しいものを注文できずに我慢してしまうかもしれません、人を避けてしまうかもしれません。

吃音の人たちは、他者に吃音症状を気づかれないように常に努力をし、本人にしかわからない苦悩を抱えて生活をしていると言われています。

①吃音で一番辛いのは難発吃音

吃音には3つの症状があります。

  • ①連発:「お、お、お、おはよう」単語の一部を連発して繰り返してしまう
  • ②伸発:「おーーーーーーはよう」最初の言葉の一部を長く引き伸ばしてしまう
  • ③難発:「・・・・おはよう」、「お・・・・はよう」すぐに声がでない、言葉に詰まる、最初の音の後が続かないなど

の症状があります。これらの症状は段階を経て重症化し複雑に絡み合っています。連発症状や伸発症状で悩んでいる人も多くいますが、難発症状へ移行した多くの人が、難発症状は、本人以外の人にはわからない想像を絶する苦痛を伴うと言っています。

難発吃音は、話したいのに言葉が出ない、理解しているのにわからないと思われる、コミュニケーションをとりたいのに取ることができないなど、自分の思い通りに行かないことや意思が伝わらない、吃音のために他者に誤解されているなど、自分ではどうにもならない苦しみがあると言われています。

②吃音の負のスパイラル「予期不安と自己嫌悪」

吃音の人は常に吃音のことを考え、「上手に話さなければ」「また、どもるかもしれない」などという不安や緊張、恐怖という感情を抱いていると言われています。

そして、以前に吃音で恥ずかしい思いをしたり、失敗してしまった経験などがある場合、または苦手な言葉・場面など想像した場合などでは、いつもより不安や緊張・恐怖などの感情が強まり精神的なストレスとなっていきます、これを予期不安と言います。

そして、実際に同じような恥ずかしい体験や失敗してしまうと「吃音でうまく話せない自分が不甲斐ない」「自分は何をやってもダメな人間だ」などの自己嫌悪に陥ってしまいます。このような経験を繰り返していくと吃音症状を悪化させることになります。

さらには、人との関わりを避けることや自分のやりたいことより失敗しないことを選択する、何もできない、何もしたくないなどの負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。

③大人のケース

社会生活を送るようになると、話をしなければならないことが多くなり、避けては通れない状況や場面が増えたりと吃音の方にとって辛いことが多いのではないでしょうか。

社会人の最初の難所は、就職面接だと言われています。面接は誰でも緊張します。特に吃音の人は、「上手に喋らなければ」「吃音があることがバレないか」「自分を少しでも良く見せたい」との思いがあるため緊張します。

また、面接特有の張りつめた雰囲気・面接官の人数や態度・集団での面接などが一層、不安や緊張を強めます。さらに、社会人になると朝礼での挨拶や電話の取り次ぎ、プレゼンテーションなども避けては通れず、吃音の人には苦悩であり、前日に眠ることができなかったり、会社に行けなくならないかなどを考えたり、重症になると死んでしまいたい、とまで思うことがあるそうです。

いずれも大勢の人の前で、失敗したくない、恥をかきたくないという気持ちが強いために吃音の人が辛く苦しい思いをしていると言えます。職種によってもことなりますが、吃音であることを会社に伝えることで多少、辛い場面は減ることと思いますが、本人にとって会社に伝えることは難しいことのようです。

④子どものケース

子どもの吃音では、本人が症状に気づいていない場合や子どもの情動や情緒が環境に左右され不安定になりやすいなどのことから親や先生の対応によって子どもが辛いと感じる場面が異なってくると思います。

吃音症状のある子どもは、学校生活の中で朗読・発表・号令・自己紹介の順で辛い思いをしていると言われています。

例えば、朗読では読めるのに読めないと思われる、発表ではわかっているのに解らないと思われるなど、吃音のために子ども自身の能力がないと思われてしまうことがあります。本人が吃音に気づいていない場合でも5歳位になると周囲の子どもが気づき、からかいやいじめが始まると言われています。

また、「落ち着いて話しなさい」など子どもの話し方について注意や矯正をすることや子どもの吃音について触れないようにするなどの大人の態度は、子どもが「自分は他の人と違うのではないか」、「おかしいのではないか」と子どもの心を傷つけてしまう可能性もあります。

親や先生が吃音について正しく理解した上で、吃音のある子どもへの配慮や支援を行うことで子どもが辛い場面を少なくすることができるのではないでしょうか。

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