吃音とは

緊張したり、驚いたり、怖い思いをしたときなどに言葉に詰まったり、声が出なくなってしまったという経験をしたことがありませんか? 多くの人は、1度くらいは経験しているのではないでしょうか。

吃音とは、このような言葉に詰まることや声が出ないなどのことが日常的に起こり、話し言葉がスムーズに出てこない、滑らかに話すことがでないために社会生活に支障をきたす発達障害(発話障害)の一つです。

吃音の種類は「発達性吃音」と「獲得性吃音」の2種類に分けることができます。

・発達性吃音(先天性) 
  発達性吃音は吃音全体の9割を占めています。
発症時期は、2~5歳くらいの幼児期で、特に男の子に多く見られます。
発症率は、人口の5%程度。成長に伴って自然に治ることが多く、成人まで吃音が見られることは1%程度となります。

・獲得性吃音(後天性)
  青年期以降(10代後半~)に発症する吃音です。
  脳機能や中枢神経などを損傷することによって発症したり、強烈な心的ストレスや外傷性ストレス(トラウマ)によっても発症したりすると言われています。
    

1.原因とされるもの

発達性吃音の原因は解明されていません。現段階では、子どもがもともと持っている資質的要因、子どもの成長に合わせた発達要因、そして、子どもを取り巻く環境要因が互いに影響して発症すると考えられています。

舌、声帯の身体障害

吃音の人が話をする(声をだす)時に声帯が閉じていたり、喉の筋肉に不要な力がかかっていたりすることがわかっています。そのため咽頭・喉頭などの身体障害が吃音の原因ではないかと言われてきました。しかし、喉頭を取り除いた人にも吃音が認められたために身体障害だけが原因ではないようです。

子供の頃の左利き矯正や厳しい躾

親は子どものためと思い、「利き手は右手」「躾は厳しく」という家庭も多くあることでしょう。しかし、あまりに厳しい躾も吃音を引き起こしてしまう可能性があると言われています。

「厳しい躾」が悪いのではなく、子どもがもともと持っている言語・認知の発達過程に比べて、速すぎたり複雑すぎたりする発話環境や運動発達に比べて高すぎる生活環境などを「躾」として求めてしまっていることが影響しているようです。

また、子どもの情緒や情動の不安定さなどにも関係してきます。いずれも個々の子どもに合った「躾」を行わなければ、子どもにとっては、強いプレッシャー・不安・恐怖・劣等感などの情緒や情動に大きな負担をかけた環境となり得ます。

左利き矯正を行うことが原因といわれているもう一つには、左利きでもともとバランスが取れていた右脳と左脳が矯正をすることによってバランスを崩してしまうことで吃音が発症してしまうと考えられています。

仕事のストレス、精神疾患

仕事のストレスには、対人関係や仕事へのプレッシャー、かなりの緊張や不安を伴う状況下での仕事(大勢の前での発言など)など、多くのストレスがあり回避することが難しいと思います。しかし、過度なストレスや緊張が原因で身体に異常をきたしが、吃音が発症することがあります。これは、難発性吃音と言われ、言葉がつまり声が出なくなる症状です。

ストレスや緊張から脳の記憶を司る海馬の機能を低下させ、言葉がすらすら出てこなくなることやアドレナリンが過剰に分泌され喉が詰まる、身体に不要な力が入ってしまどの(バルサバル反射)が吃音を引き起こしていると言われています。

遺伝

家族に吃音者がいる場合、3~5割前後の割合で子どもに遺伝すると言われています。そして近年、吃音に影響を及ぼす遺伝子も発見されました。しかし、吃音遺伝子を受け継いでいる子どもの割合は1/10程度に留まっています。

家族に吃音者がいる場合、子どもが吃音になる確率は高いと言えますが、遺伝子の確率を見ると、子どもを取り巻く環境要因(言葉を覚えるなどの成長段階で吃音を覚えてしまうなど)が大きく影響しているように思えます。

脳の障害

吃音のある人は、生まれつき脳機能や構造が異なっています。話をしている時に右脳が過剰に活動することや聴覚野(音を聞いた時に活動する領域)の活動が低いことがわかっています。

獲得性吃音のように後天的に吃音を発症してしまった場合でも、脳の機能障害により神経伝達物質のバランスが崩れる(ドーパミンの過剰分泌・セロトニンの不足)ことや記憶や言語処理に関係するワーキングメモリーに影響を与えるため、吃音を発症すると言われています。

2.症状としてはどんなものがある

吃音の主な症状には3タイプあり、1つ以上が必ずみられます。

連発

単音や単語の一部を連発して繰り返してしまう、「お、お、お、おはよう」

吃音と聞いて一番にイメージするタイプの症状です。

伸発 (引き伸ばし)

最初の言葉の一部を長く引き伸ばしてしまう、「おーーーーーはよう」

難発(ブロッキング)

挨拶などの短い単語でも、すぐに声がでない、言葉に詰まる、最初の音の後が続かないなど「・・・・おはよう」、「お・・・・はよう」吃音の人が最も辛い症状です。
 
これらの症状は、初期の難発性→連発性→伸発性→難発性へと段階を経て重症化していきます。そして、一つひとつが独立して発症していることはなく複雑に絡み合っています。さらに、これらの症状とともに不自然な身体の動きが見られることがあります。

  • 目がパチパチ動くなどの必要以上の瞬き
  • 貧乏ゆすりのように足を動かしたり、足踏みをしたりする
  • 手を振って勢いをつけて話す、など随伴運動と言われる症状です

 

3.吃音の不思議

歌や独り言なら吃らない

吃音の人の話し方には、「単調に話す」という特徴があります。歌(メロディー)は抑揚がありメロディーのながれを意識して発声しているために吃音が起こりにくいと言われています。

そして、独り言も吃音が軽減される傾向にあります。独り言は、会話ではなく短い言葉を発するために吃音が発症しにくいようです。

また、吃音が発症する際は、人との会話や大勢の前での発言などが多く、かなりの緊張や不安など精神的に負担が大きい状態の場合だと考えられます。独り言は、あくまでも独り言のなで・・周囲を気にせず、心身ともにリラックスしていることが良いのではないのでしょうか。

4.吃音かなっと思ったら

自分が吃音かどうかをチェックするには、まず自分がいつもどのよう話し方をしているのかを知ることが重要です。そして、吃音の主な症状が見られるかどうかをチェックしていきます。

また、動画などで自分の会話の様子を確認することができる場合は、会話をしている際の不自然な身体の動きなどについてもチェックして行くと良いでしょう。

自分の話し方を知る方法

①自分が話している様子を録音してみる(ICレコーダーなど)
②会話をしている自分を録画してみる(ビデオや動画機能など)

チェック項目

  • 言葉の一部を連続して繰り返していないか
  • 最初の言葉の一部を伸ばして話しをしていないか
  • 頻繁に言葉が詰まっていないか
  • 長い言葉だけではなく、短い言葉でも詰まってしまうか
  • すぐに言葉がでているか
  • 最初の音から続かないことはあるか、などの項目をチェックしてみてください

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